VOL.21 |
夢のアルビノ繁殖計画2
「ひとりごと15」夢のアルビノ繁殖計画!?から3年が経ちました。
正直こんなに早く続きを書ける事になるとは思ってもいませんでしたし、この夢みたいな計画が大きく前進した事を大変嬉しく思っています。今回のひとりごとはこの2年間をまとめてご紹介したいと思います。
前回、「ひとりごと15」夢のアルビノ繁殖計画!?を書いた時には、アルビノの性別判断ができていませんでした。個体がまだ若かった為ですが、その後体型の変化や行動などから「メス」であると確信いたしました。
1回目の産卵
最初に産卵したのは2009年の8月でした。腹部が膨らみ卵を持った事を確信し、ペアリングを行っていました。オスは何回か繁殖に成功している個体の方が確立が高いと思い、この時点で成績優秀な過背金龍を使いました。アルビノでもノーマルでも基本的な繁殖は同じですし、特にいつも通りのはずでした・・・。鳴いたり、擦り寄ったり、2匹で沈んだりと特に変わった事もありません。
この画像は産卵直前の肛門です。
卵がここまで来ると今まで産卵しなかった事はありません。アロワナも産卵を止める事は出来ない状態だと考えています。
100%「あと数時間で産む」と確信していました。
そして次にこの2匹を見たのはこの4時間後でした。メスのこの膨らみは見事に無くなっていました。しかしオスの口も膨らんでいませんでした・・・。
「あれ?!卵はどこ?!」
この時何があったのか全く分かりませんでした。
産んでいる筈なのに、オスも咥えていないし底面にも卵が落ちていない・・・。しかも水も濁っていなければ、卵の破片すら見当たりませんでした。
1.卵は見る事が出来なかったが、99%産んでいる。よってメス確定。
2.産卵後オス又はメスが噛み砕くことなく、卵を食べている。
今までこの状態で卵を咥えなかった事が無かった為に、大変悔しい思いをしました。
せめて卵の破片でも見つけて、メスである物的証拠を得たかったのが本音です。
2回目の産卵
2010年の12月2回目の産卵。前回の卵消失事件からオスを入れ替え、ペアリングを行っていました。
産み落とした卵を咥え、それをメスから守りきれなかった可能性がある為です。
この画像は卵を咥えるオスの過背金龍ですが、サイズが小さい為にあまり多くは咥えている様には見えませんでした。
この2匹でのペアリングは初めてでしたが、相性は良さそうでした。
産卵してから数日でしたが、今回は迷わず開け、卵を取り出しました。
勿論、リスクが高いのは十分承知していましたが、アルビノがメスであるという物的証拠が欲しかった為に無理をして卵を確認いたしました。
アルビノでもノーマルでも、アジアアロワナの卵の色自体は変わらない事は上の写真から分かっていましたので、特に驚きませんでした。
2回目の産卵でメスである事が100%確定しました。前回の産卵から1年4ヶ月がかかりましたが、これで少し「アルビノ繁殖」の現実味が沸いてきたのも事実でした。メスの為に年に数回のチャンスしか訪れませんが、繁殖に向けて本格的にデータを集め、餌などの管理もより慎重に行い始めました。
アジアアロワナのメスは、3ヶ月ごとに年4回の産卵が最高回数です。
しかし、年4回産卵させると翌年産まなかったり、その後回数がガクンと減る事がある為に、年2回までで抑える事としました。
1年に多く産むよりも、コンスタントに良い卵をゆっくり産んだ方が個体にも無理がかかりませんし、ベストであると考えました。
3回目の産卵
2011年5月無事に3回目の産卵を向かえる事が出来ました。
前回の産卵より6ヶ月ですので、怖い位に理想通りでした。オスは前回と同じ小さい個体に咥えさせました。
前回アルビノとも相性が良かった事と、過背金龍として綺麗な個体であった事の2つの理由での選抜です。相変わらず小さい個体の為に、多くの卵を咥える事は出来ませんが、それでも20個位はきちんと咥えます。まだ、若い個体である為に卵の回し方があまり上手くはありませんが、それでもメスとの相性が抜群に良いオスです。
アルビノ過背金龍(メス)
腹部の大きさから毎回20~25個位の卵は産んでいると考えています。
3回目にしてようやく1匹繁殖させる事が出来ました。念願のヘテロです。
この時は「何で1匹なんだろう・・・・。」と考えていました。アロワナの繁殖は1匹でも30匹でも技術的難易度的には同じです。あえてこれを試練であると前向きに考える様にしました。
この個体はアルビノの遺伝子を50%受け継いでいるヘテロとなります。
メスはアルビノでもオスが黒目のノーマルの為に、子供は全て黒目で産まれて来ます。しかし、半分はアルビノの遺伝子を受け継いでいますので、この個体からでもアルビノを繁殖できます。
このヘテロからアルビノを繁殖させる為には下記の2つの方法があります。
1.親のアルビノとヘテロで繁殖
仮にこの組み合わせの場合、ヘテロを育てるのに3~4年。しかもオスである必要があります。しかし、オスでアルビノとの繁殖に成功すれば、50%の確立でアルビノが出るはずです。問題はこの1匹がオスである必要がある事と、4年後以降もメスのアルビノが卵を産めるか?と言う事です。
2.ヘテロとノーマルで繁殖
この場合は少し複雑になります。まず、ヘテロを育てます。その後ノーマル個体と繁殖させ、下記の様なAaを複数得ます。ただし、50%の個体にしかアルビノの遺伝子が行きませんし、全ての個体が黒目である為にその遺伝子を持った個体の判別が出来ません。闇雲でF2まで繁殖させないとアルビノは出現しない事になります。
表1 | Aa | ||
A | a | ||
AA | A | AA | Aa |
A | AA | Aa |
残念ながらこの方法だとヘテロを育てるのに3~4年。その個体同士で上手く繁殖出来てもその子供を育てるのにプラス3~4年かかる計算になります。運が良くAaに当たったとしても、最短で7~8年はアルビノが出現しない事になります。この2つの繁殖方法では、あまりにも問題点が多く正直非現実的で狙って行える繁殖ではありません。どうにかしてでもヘテロを複数繁殖させないと、アルビノの出現は夢のまた夢です・・・。
4回目の産卵
2011年12月4回目の産卵のチャンスが来ました。
今回も前回同様、約6ヶ月ですので良い感じの周期になってくれています。
この数年でアルビノの産卵以外にも十数回他のペアで繁殖を行っていました。勿論、成功だったり失敗だったり様々な結果でした。
その間の産卵全てを人工孵化で挑戦致しました。
現地のアロワナ養殖場からも「産卵から数日で開けるなんて無謀」と言われ続けました。しかし、アジアアロワナの繁殖の謎を解く必要があると考えていました。
「ペアリングして、産んで、成功した。」では運任せの繁殖になってしまいます。
水槽内での繁殖は、なぜ失敗するのか?なぜ成功するのか?をキッチリ解明する必要があります。何がその差を別けているのかを見つけない限り、今後何年やっても繁殖の成功率は上がるわけがありません。その為にも人工孵化を行って産卵から受精、何時間で卵が細胞分裂を起こし、アロワナが形成されるかをきちんとデーターとして記録する必要があると考えていました。
アロワナ養殖場はそんな事、絶対調べる事はありません。繁殖さえ出来ていれば、そんな事をする必要なんて全くないからです。
やっとの思いで12匹のヘテロの繁殖に成功しました。メスがアルビノの過背金龍で、オスが過背金龍です。
全ての個体が黒目ですが、アルビノの遺伝子を受け継いでいる過背金龍になります。
これでやっとAaの遺伝子を持つヘテロを複数得る事が出来ました。
表2 | Aa | ||
A | a | ||
Aa | A | AA | Aa |
a | Aa | aa |
ノーマル | AA | 黒目 |
ヘテロ | Aa | アルビノの遺伝子を持った黒目 |
アルビノ | aa | アルビノ(赤目) |
この個体同士での繁殖は表2の様になるはずですので、成功すれば25%がアルビノ過背金龍になるはずです。
4匹に1匹の確立でアルビノの過背金龍が出現すると考えられますので、今回と同じ12匹繁殖させる事が出来れば、確立上3匹のアルビノが居てもおかしくない計算になります。
しかし、まだまだ小さい個体ですので繁殖出来る様になるのに3~4年かかります。複数採らなければアルビノは出現しないでしょうから、ある程度の成功率も必要です。それまでにまだまだ勉強しなくてはならない事が沢山ありますし、もっと多くの謎も埋める必要があります。
次回のひとりごと「夢のアルビノ繁殖計画3」を書けるのはまだまだ全然先の話ですが、いつかそのお題で書けたら良いなぁ~と思っています。
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