VOL.20 |
アジアアロワナの産卵
アジアアロワナが産卵し卵を咥える様子を初めて撮影致しました。
2011年6月24日
1500×700×600の水槽でペアリングを行っていた過背金龍(オス)と紅尾金龍(メス)の産卵動画の撮影を行いました。
今回の「ひとりごと」は、このビデオから分かった事を今後の繁殖の為に検証し、少しレポートしたいと思います。今まで幾度と無く撮影のチャンスはあったのですが、きちんと撮影したのは今回が始めてでした。理由は簡単でビデオカメラを持っていなかっただけなのですが・・・・。
まずは下記の動画をご覧下さい。
*回線が速い方は1080pで見て頂いた方がHDで画質が綺麗です。
注:音楽が流れますので、音量に注意して下さい。。
ビデオを見直しても産卵の様子は想像通りで、特に大きな発見はありませんでした。
しかし、そこに映っていたものは「メスが産卵しオスが射精して卵を咥える」と言う今までの常識を覆す映像でした。
撮影したこのビデオを見るよりも先に実物の2匹を見ていますが、最初は何でメスが口を膨らましているのか分かりませんでした。
「ひょっとしてメスも咥えているんじゃない?!」あまり刺激を与えたくなかった為に、とりあえずその場を離れカメラの動画をチェックしました。
そして想像もしなかったこの映像が撮れていたのでした。
ペアリング~産卵
まずは今回のペアリング~産卵までの経緯を簡単にご紹介したいと思います。今回ペアリングを行っていた水槽ですが、1500と比較的小さめの物を使用しました。
通常は2000でのペアリングを行っているのですが、この時はアロワナが2匹とも大きくなかった事、出来るだけ一般的な水槽で繁殖に挑戦したかった事の2つの理由でこの水槽を使用しました。
撮影は斜めからのアングルですが、これは4面ブラック水槽で横から撮れなかった事と、正面からだと産卵の瞬間を大きく写せない為です。
この一般的な水槽を使用した事には大きな意味合いがありました。
濾過槽も上部ですし、特別繁殖を意識した水槽ではありません・・・。
恐らく日本のアロワナマニアさんの平均位の水槽だと思いますし、ペアリングに挑戦されている方の平均水槽よりも小さいと思います。
このサイズでペアリング、産卵まで行える事を自分で証明したかったですし、多くの方にアジアアロワナ繁殖を目指して頂けたらと言う想いからこの水槽にしました。
「1500でも繁殖出来るんだ!」ってマニアさんが一人でも増え挑戦していただけたら良いなぁ~って・・・。
オス VS 人工孵化!
動画で確認出来る範囲、産み落とされた卵は45個前後です。このメスは毎回40個位は産んでいました。この数は腹部の膨らみからも予想の範囲でした。
オスは少し小さめで以前に卵を咥えた時も20~25個が限界でした。
これはペアリングする前から分かっていた事で、「オスが咥え切れなかった卵は15~20個底面に残る」と想像していました。
想像していたと言うよりも、当然そうなる筈だと考えていました。
卵の半分はオスに咥えさせて、半分は人工孵化でその差を見比べる事が出来るのではないかと・・・。
良い意味で裏切られた訳ですが、今回でまたアロワナ繁殖の謎が深まったのも事実です。
咥え残した卵はメスが食べる?!
アロワナ繁殖の今までの常識では、「咥え残した卵はメスが食べる。」と言うものでした。理由は他の魚が餌として寄り付かない様にし、身を守る為だとされていました。確かに大きくは外れていないと思いますし、それを間違いだと疑いもしませんでした。しかし、今になってよく考えてみれば、アジアアロワナが生息する自然界でアロワナの存在を脅かす魚種はそれ程多くは居ません。仮に居てもナマズ位ですが、それもアロワナにしてみればそれ程脅威ではないですよね・・・・。
メーター越えのレッドテールキャットやピラルクならまだ話は分かりますが、アジアアロワナの生息地にはその2種はいません。普通のナマズ位なら水槽でも多く混泳されていますが、アロワナが襲われるなんて事は殆どありません。
「他の魚種が寄って来るからメスが食べる」と言うのはおかしな話ですね。卵を食べられてしまう位なら母親が食べるってのは筋が通っていません。
今頃気付くな!?って感じですけど・・・・。
産卵解説
動画を見る範囲、まずはオスが卵を咥え始まります。この際に精子が白く濁って見えるかとも思いましたが、映っていませんでした。この後きちんと受精はしていましたので、アロワナの体調や水質などから、精子が白く濁って映る事もあるのだと想像できます。
胸ビレをピクピク動かしている辺りで精子を出し始まり、その動きでメスに産卵を促す合図にもなっていると思われます。(0:26)
メスが産んでから精子をかけるのではなく、正しくは精子を出してそこに卵を産むのが分かります。
精子をかけて方向転換の為、1度その場を離れます。(0:37)
産卵後すぐにメスもその場を離れますが、これはお腹の中の卵が一気に無くなって浮力が急に変わる為と、その場を離れオスに咥えさせる意味があるのでしょう。
浮き上がり方から見ても故意に上がっている感じではなく、浮いちゃっている感じに見えます。(0:39)
オスが卵を咥え始まります。
咥えると言うよりも吸い込むと言った方が正しい表現でしょう。(0:45)
あの柔らかい卵を一つも潰さずに口に含むのですから、驚きです。しかも卵は重いのでその吸い込む力もかなり強い事が想像できます。
オスが卵を咥えているのをメスは、周遊しながら見守っていましたが「咥えきれない」と分かったのか、自分でも卵を拾い始まります。(1:26)
同じくメスも卵を砕く事無く、綺麗に拾います。
オスは卵を拾おうとはしますが、すでに口がいっぱいでこれ以上卵を咥えられなくなります。
吸ってはこぼして、吸ってはこぼしてと繰り返し始まります。(1:47)
拾えずに鼻でつつくだけになってしまっています。(2:01)
ここから残った卵は全てメスが咥えています。
全ての卵を咥え終わりました。(3:30)
なぜメスが咥えたか?!
動画の動きから見ても明らかにこの卵を咥えれば、子孫が残せる事を分かっているのでしょう。そして、咥え始まるタイミングからしても、オスが咥えきれないのをきちんと分かっている様に見えます。
まとめ
この後、写真撮影の為にバタバタしていたら全ての卵を砕いてしまいましたが、そっとしておけばそのまま咥え続けたのかもしれません。実際にメスが卵を咥えていた時間は20~25分ですが、明らかに人の気配と写真撮影が影響しています。ただ、メスの口の構造上オスに比べ咥え難いのも事実だとは思います。横幅や開き方が元々卵を咥えるのに適した作りにはなっていません。勿論オスに比べてですが・・・。この動画を多くの養殖関係者の方やプロショップの方に見て頂き、意見、感想を頂きました。
僕を含め、誰もが見た事のない映像で恐らく世界でも貴重なアロワナの産卵動画でしょう。
この動画を撮影できた事をとても幸運に思いますし、多くの方に見て頂けたことを嬉しく思います。勿論、僕自身この動画を見れた事をとても嬉しく思っています。
今後多くのマニアさんの努力でもっと凄い動画を見れる日が来る事を楽しみにしていますし、僕も負けない様に努力を続けたいと考えています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。また、次回のひとりごとで・・・・。
*この動画にはラフレシアの名前が入っていますが、ブログ等へご自由に埋め込んで頂いて結構です。
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